食べた人が幸せになれるような柑橘を家族と作り続けることで、柑橘畑が広がる大好きな島の風景を守りたい。これから何十年、何百年と、次世代にも「続く」農業を目指す稲角農園さんとは?
インタビュー先
稲角農園
稲角 恵子さん
インタビュアー
丹後村おこし活動チーム
「どれだけ多くの人に食べてもらえるか」を大切にし、また次世代にも「続く」農業を目指し、瀬戸内海の生口島で柑橘を栽培されている稲角農園さん。私たち丹後村おこし活動チームのOGでもある稲角恵子さんに農業を始めたきっかけやこだわり、やりがいなどについてお伺いしました。
家族と共に、生口島での柑橘の栽培
-どのような作物を育てていらっしゃいますか?
柑橘をメインに今は15品種ぐらい育てています。デコポン、はるみ、ミカン、ネーブルとレモンの5品種を主に育てています。変わり種だと、ライムも最近育て始めています。
-それぞれの果物が採れる時期を教えていただきたいです。
だいたい9月の末ぐらいから収穫が始まります。年内だったら12月ぐらいまでがミカンとレモンです。レモンはまだ黄色くなっていないグリーンレモンの出荷がその時期ですね。
年を越してからはネーブル、はるみなどの雑柑(ミカン以外の柑橘)系の出荷がだいたい4月ぐらいですかね、順々にという感じです。
-農業を始めた経緯やきっかけはなんでしょうか?
もともと高校生の時ぐらいから大学の進路を決める中で農業に興味を持ち始めていて、課外活動で農業に関わりたいと思って村おこしに入りました。そして村おこしで農業を実践してみて「将来的に自分が農業を自立してできるのかな」と考えたときに、1人で農業を始める自信がなかったので、1回社会に出てみようと企業に入社しました。その企業は食品を取り扱う会社だったのでそこで様々な農家さんを見させてもらっているうちに、「実際に農業をやっている農家に行って一緒に農業が出来たらいいな」という思いが具体的に自分の中で出てきました。
そんなときにたまたま会社の同期だった旦那が「そのうち仕事を辞めて島に帰って、農業を継ぐつもりだから一緒にやらないか」と言ってくれたので、結婚して一緒に農業をやっている、という経緯です。
-農業をしている中で感じたやりがいはなんでしょうか?
自分がつくったものをお客さんが食べて「美味しい!」と言ってくれて、その人が嬉しそうにしてくれるのが一番やりがいを感じることですね。食べてくれる人たちを幸せにできたら嬉しいなって思います。
-農業をされている中で、心がけていることはなんでしょうか?
美味しい柑橘を手軽に食べ続けてもらえるように努力する、ということです。当たり前のことですが、適切な季節に適切な作業をする。でもやっているとこれがなかなか難しいことなんです。家族経営なので、人手にも限界があります。なので、作業時間の効率化を図るためにも、畑に投資して整備していきたいと思っています。例えば、樹の植え方にしても、樹間をどれくらいにして、ゆくゆくは機械が通りやすくなるようにする、とか、灌水チューブを通して、雨量が不足した場合、水をまけるようにするとか。全て一気に変えられるわけではないので、地道にコツコツ変えていければなと思っています。
-今後の農業はどうなっていくと思いますか?
全部の農家が同じ方向を見て農業をしなくてもいいなと思っています。いろいろな農家がいろいろなことをやるから、お客さんもいろいろな値段の商品が手に入ったりするということもあると思うので。
安定供給という観点で言うと、今までと同じやり方だけでは難しいなと思う部分があります。人の手で全て行うというのは大変なことなので、機械に頼る農家が増えるなど今までと変わっていくところはあると思います。
先輩の農家さんたちを見ていても、残っているのは柔軟に対応している方が多いと感じます。自分たちも周りの状況を見ながら時には大きな決断をする必要があると思っています。
-生口島はどのような場所ですか?
田舎ですけど景色が本当に良い場所で、その景色を常に見ることができるので楽しいですね。観光地としても栄えています。
都会に出るには必ず橋を使うし1時間以上かかるけど、それが当たり前になれば過ごしやすいですね。
-新型コロナウイルスの感染が拡大していますが、何か影響はありましたか?
出荷が終わりかけの時期に緊急事態宣言が出たので、大きな影響はなかったです。でも宅配のお客さんが急増していたので、また収穫の時期になったら今度はどうなるのかな、とは思っています。
-この記事を見てくださっている方に伝えたいことはありますか?
島に帰ってきて農業をするというのはこの地域に根付くということです。島でだんだん高齢化していって農地を手放す人が増えている中で、柑橘の木が多くあって春になったら花がたくさん咲いている、そういう風景を守っていきたいなという思いが私たち夫婦にはあります。それを次世代に繋いでいける農業をやっていきたいと思っています。
多くの人に食べてもらいたい。食べた人に幸せになってもらいたい。生口島の風景を守り続けたい。そんな稲角さんのこだわりが伝わってきました。
新型コロナウイルスが落ち着いたら、是非実際に行って生口島の風景を見てみたいと思いました!
インタビュー先概要
稲角農園
稲角 恵子さん
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